9マイルは遠いんだから

なんかの感想

インスタント沼 感想

インスタント沼 感想

 

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編集長として担当した雑誌は心霊特集を組んで廃刊、好きな男は海外に行き、母親は河童を釣ろうとして意識不明。人生ジリ貧泥沼OLの沈丁花ハナメがひょんなことから自分の出生の秘密を知ってしまい、お金持ちかもと思って実の父親を訪ねたら骨董品屋さんでした。
電球さん(骨董屋主人)とガス(パンク青年)に囲まれてガベージコレクションして、で、なんだかんだで龍召喚したりする映画でした。なんだかんだはなんだかんだです。

 

そもそもインスタント沼という発想が天才のそれ。
沼を乾かして土砂にしたものを蔵に保存しておいて、その土砂を撒いて水をちょっと掛ければ沼の完成。カップラーメンみたいに一日でできる沼である。なるほど、インスタントだわ。

 

ネタは非常に面白い。
粉末スプーン十杯に対して牛乳ちょっとの、まさしく沼のような「しおしおミロ」を飲み干すの楽しすぎでしょ。
言葉遊びのようなハナメの自己紹介もコミカルだし、三秒に一回ギャグを挟んでくるハイテンションさ。ハナメの家の前を通る会社員がいちいちカナメの奇行(変なマスクを被って踊る、お金を舞い上げる)に反応したりと飽きない。

 

幼年のみぎわに沼に沈めてしまった招き猫の呪いのように人生上手くいかないハナメはなんとなしに自分の本当の父親の住所と思われる胡散臭い骨董屋を訪ねていくのだが、その骨董屋の商品がいちいち胡散臭い。
おでんの具の名称が一つずつ出てくる箱型ルーレットとか、ちくわぶとかはんぺんとか出た後に虞美人草にって……シュールすぎる。いや、おでんに入るのかもしれないけど?
ハナメが探す羽目になる"運命の人の顔を教えてくれるツタンカーメンの占いマシーン"なるものもまた胡散臭い。こういうチャチな占いマシーン何時頃から消えたんだろうね。

 

ストーリー終盤で復活した沼から龍が出てきて空に昇っていくシーンは頭の上にクエスチョンマーク浮かべる案件だったけど、それはそれでスッキリしたから問題なし。ハナメとガスはなんだかんだで上手くいくし、別れた男についても「まいっか」になるし。


映画全体を取り巻く胡散臭さとシュールさが「ま、こんな感じでいいかな」って奇妙に納得させてくれるんだよね。

 

結局、「思い切ってなんかやってみる」というのがこの映画のテーマなんじゃないかなと思ってみる。
「うまくいかない時は蛇口を捻ってみる」という電球さんの教えはきっとそういうことなんじゃないかと。
モゴモゴ引きこもっているよりは手洗い場の蛇口を捻ったままジュース買いに行ってみたり、風呂の蛇口を捻ったまま中華食べに行ったり。
行動で何かが変わるのだ。ということです。